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流体力学基礎

2次元Couette流の解析解

公開: 2026-03-29更新: 2026-03-29
2次元Couette流の解析解

ナビエ-ストークス方程式は一般には解析的に解くことができません(手計算で解けない)。しかし、流れが十分に単純な場合には解析解を求めることができ、流体の運動を理解する上で非常に役立つ知見を得られます。なぜなら、現実の複雑な粘性流も局所的には解析解が存在するような基本的な流れに帰着できることが多いからです。

この記事では、非圧縮性ナビエ-ストークス方程式から出発し、2次元Couette流の解析解を導きます。2次元Couette流は非常にシンプルな流速分布となり、流れが2次元的であると仮定できる状況なら大いに役立ちます。

ナビエ-ストークス方程式とは

非圧縮性粘性流体に対するナビエ-ストークス方程式は次の形で表されます。

ut+uu=1ρp+νΔu+f(1)\frac{\partial \boldsymbol{u}}{\partial t} + \boldsymbol{u} \cdot \nabla \boldsymbol{u} = -\frac{1}{\rho} \nabla p + \nu \Delta \boldsymbol{u} + \boldsymbol{f} \tag{1}

平行流

流線がすべて定直線に平行な直線である流れを平行流といい、2次元Couette流は平行流の一種です。定直線の方向に直交座標(x,y,z)(x, y, z)xx軸を取ると、平行流の定義からその速度はu=(u,0,0)\boldsymbol{u} = (u, 0, 0)で表されます。v=w=0v=w=0、非圧縮性流体の連続の式より

ux=0(2)\frac{\partial u}{\partial x} = 0 \tag{2}

つまり、uuxx軸方向に一定です。

また、外力がないものとすれば、v=w=0v=w=0を式(1)(1)yyzz成分に代入することで

py=pz=0(3)\frac{\partial p}{\partial y} = \frac{\partial p}{\partial z} = 0 \tag{3}

となり、ppyy軸、zz軸方向に一定です。

さらに、式(1)(1)xx成分は式(2)(2)より

ut=1ρpx+ν(2uy2+2uz2)(4)\frac{\partial u}{\partial t} = -\frac{1}{\rho} \frac{\partial p}{\partial x} + \nu(\frac{\partial^2 u}{\partial y^2} + \frac{\partial^2 u}{\partial z^2}) \tag{4}

となります。

uuを含む項はxxによらず、ppを含む項はyyzzによらないので、これらはそれぞれ時間ttだけで表すことができるはずです。

utν(2uy2+2uz2)=1ρpx=α(t)(5)\frac{\partial u}{\partial t} - \nu(\frac{\partial^2 u}{\partial y^2} + \frac{\partial^2 u}{\partial z^2}) = -\frac{1}{\rho} \frac{\partial p}{\partial x} = \alpha(t)\tag{5}

定常流なら、

2uy2+2uz2=1μpx=αν(6)\frac{\partial^2 u}{\partial y^2} + \frac{\partial^2 u}{\partial z^2} = \frac{1}{\mu} \frac{\partial p}{\partial x} = -\frac{\alpha}{\nu} \tag{6}

2次元Couette流

下図のように、2枚の平面壁y=y1,y2(>y1)y=y_1, y_2 (> y_1)に挟まれた領域をx軸方向に流れる状況を考えます。また、2枚の平面壁はそれぞれU1U_1U2U_2でx軸方向に動いているとします。

このとき、z軸方向には流れは変化しないので、式(6)(6)より

2uy2=αν(7)\frac{\partial^2 u}{\partial y^2} = -\frac{\alpha}{\nu} \tag{7}

(7)(7)yyの乗微分方程式なので、ただちに不定積分できて

uy=ανy+C1u=α2νy2+C1y+C2\begin{align} \frac{\partial u}{\partial y} &= - \frac{\alpha}{\nu} y + C_1 \notag \\ u &= - \frac{\alpha}{2 \nu} y^2 + C_1 y + C_2 \tag{8} \end{align}

が得られます。境界条件(y=y1y=y_1u=U1u=U_1y=y2y=y_2u=U2u=U_2)を式(8)(8)に代入して

U1=α2νy12+C1y1+C2U2=α2νy22+C1y2+C2\begin{align} U_1 &= - \frac{\alpha}{2 \nu} y_1^2 + C_1 y_1 + C_2 \notag\\ U_2 &= - \frac{\alpha}{2 \nu} y_2^2 + C_1 y_2 + C_2 \tag{9} \end{align}

(9)(9)C1C_1C2C_2について解けば、以下のように積分定数が得られます。

C1=U2U1y2y1+α2ν(y1+y2)C2=y2U1y1U2y2y1+α2νy1y2\begin{align} C_1 &= \frac{U_2 - U_1}{y_2 - y_1} +\frac{\alpha}{2 \nu} (y_1 + y_2) \notag \\ C_2 &= \frac{y_2 U_1 - y_1 U_2}{y_2 - y_1} +\frac{\alpha}{2 \nu} y_1 y_2 \tag{10} \end{align}

y1=0y_1 = 0u=0u = 0y2=hy_2 = hu=Uu = Up/x=0\partial p /\partial x=0、つまり、上下の平面壁の幅はhで、下側の平面壁は静止、上側の平面壁が速さUUでx軸正方向に動いており、圧力勾配は無く空間全体でp=p0p=p_0で一様であるとします。このとき式(10)(10)から

C1=Uh, C2=0u=Uhy\begin{align} C_1 = \frac{U}{h},\ C_2 = 0 \notag \\ \therefore u = \frac{U}{h} y \tag{11} \end{align}

(11)(11)から得られる知見として、流体が平板2枚に挟まれており、平板の移動速度に差があるとき、流体の流速分布は線形的になります。このように、流速がある方向に線形である流れを2次元Couitte流と言います。

参考図書

  • 巽友正「流体力学」(培風館):より厳密な数学的定式化と幅広いトピックをカバーしており、大学院レベルの学習に適しています。読むには微積分、ベクトル解析の大学レベルの知識が必要です。